米西部ユタ州のユタバレー大学で10日、トランプ米大統領を支持する右派の政治活動家チャーリー・カーク氏(31)がイベントでの講演中に銃撃された。トランプ氏は自身のSNSでカーク氏が死亡したと明らかにした。連邦捜査局(FBI)によると、容疑者は拘束されているという。
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米NBCなどによると、カーク氏の講演中に近くの建物から発砲音が聞こえた。直後にカーク氏は首から血を流して倒れ込み、観客も逃げ出す騒ぎになった。ほかに撃たれた人はいないという。
ユタ州の治安当局や大学などが開いた会見によると、現場には3千人以上の観客と6人の警察官がいた。「発砲は1発」だとし、単独犯とみられるという。
容疑者の動機などは判明していないが、同州のコックス知事(共和党)はカーク氏が議論のために大学に来ていたと述べ、「これは政治的暗殺だ」と批判。「思想や理想のために命を奪う者がいるなら、憲法の基盤が脅かされる」と話した。
トランプ氏は事件直後、SNSに「銃撃されたチャーリー・カークのために皆で祈らなければならない」と投稿。その後、「偉大なる、伝説的なチャーリー・カークが亡くなった。米国において、チャーリーほど若者の心を持ち、理解した者はいなかった」と、亡くなったことに言及した。ホワイトハウスや公共施設で14日の日没まで半旗を掲げるよう命じた。
FBIのパテル長官はX(旧ツイッター)でFBIの捜査官が現場に到着しており、安全確保と地元当局による捜査に協力していると明らかにした。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、カーク氏は18歳の時に「ターニング・ポイントUSA」という保守系青年団体を設立。850以上の大学に支部を持ち、学生の有権者登録や保守系講演者の招致などを進めてきた。トランプ氏を長く支持し、昨年の大統領選でも応援した。「ほとんどの国会議員を合わせた以上の貢献を果たした」(共和党のバンクス上院議員)といわれるほど、特に右派の若者の集票に力を発揮し、1月の就任式にも参加していた。
カーク氏は今月7日に東京都内で開かれた参政党のイベントにも参加していた。
米国内では政治的な暴力事件が相次いでいる。トランプ氏は昨年7月、選挙集会中に銃撃され耳を負傷した。今年6月には民主党のミネソタ州議員とその夫が自宅で射殺されている。